毎日新聞 2014年03月03日 東京朝刊
◇多民族が行き交う要衝 ソ連時代に入植、ロシア系6割
なるほドリ ロシア軍が乗り込んだクリミア半島ってどんなところ?
記者 黒海(こっかい)の北側に突き出た半島で、全域がウクライナ領です。半島の大部分はクリミア自治共和国と呼ばれる行政区域で、南西側にはセバストポリという別の特別市があります。クリミア自治共和国は独自の内閣を持つなど、特別の権限が与えられています。セバストポリにはロシアが黒海艦隊基地を構えています。ウクライナが旧ソ連から独立した後、ロシアが租借(そしゃく)契約を結んだためです。南東側の保養地ヤルタは第二次大戦末期の1945年2月に米英ソ3国首脳が戦後体制を協議した場所として知られています。
Q 半島にはどんな歴史があるの?
A 古代にギリシャ人が入植し、ローマ帝国、ゲルマン民族、モンゴル系やオスマン・トルコの支配を受けました。18世紀後半からロシアが統治してきましたが、54年にソ連の指導者、フルシチョフがウクライナ共和国へ帰属(きぞく)を移しました。
Q なぜ頻繁(ひんぱん)に支配者が代わったの?
A 欧州とアジアをつなぐ黒海に面し古くから多様な民族が行き交う要衝(ようしょう)だったからです。ロシアは冬でも凍らない港を求めて南へ領土を拡大する志向が強く、セバストポリという良港を持つクリミアで他国と勢力を争って来ました。
Q どんな人たちが住んでいるの?
A かつてはトルコ系のクリミア・タタール人が多数派でしたが、ソ連時代に多くのロシア人やウクライナ人が入植し、今ではロシア系が人口の6割を占めます。このため親露(しんろ)感情が根強く、今回の危機の原因の一つとなっているのです。(モスクワ支局)
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