2017年3月19日日曜日

しかたがない」を英語で言うと? 英訳の超難問、その見事な答え

作家・片岡義男さんが「すごいねえ」と感嘆したアメリカの漫画家エイドリアン・トミネ。その絵を読み解いた前編(gendai.ismedia.jp/articles/-/51057)に続き、後編では作中に出てくる日本語の見事な英訳から、翻訳に必要な思考のめぐらせ方を考えます。 ----------

 「しかたがない」を英語で言うと? 英訳の超難問、その見事な答え 翻訳に必要な 写真:現代ビジネス 短編コミック「日本語から翻訳された」 エイドリアン・トミネの Killing and Dying には6編のストーリーが収録してある。どれもスタイルが異なっているから、さまざまなスタイルの試み、と理解すればいいのではないか。 4番目のストーリーは TRANSLATED, from the JAPANESE という題名だ。「日本語から翻訳された」という意味だ。

 この作品は17点のイラストレーションと、それぞれにともなった短い英語の文章で構成されている。最初の文章だけは日本語でも提示されている。  見開きの左のページに、日本語で言うところのミニ・ノートという小さなノートブックの、上から6行目から6行にわたって、日本語の文章が手書きしてある。黒いインクを使った、やや幼い雰囲気もあるが、真面目な字だ。

  I という一人称の語り手が、このストーリーの主人公だ。見開きの右ページには、TRANSLATED, from the JAPANESE という題名が2行で入れてある。  ストーリーの語り手である彼女は、アメリカの男性と結婚していて子供がひとりいる、日本の女性のようだ。夫はカリフォルニアに置いて、子供を連れてしばらく日本にいた彼女が、カリフォルニアに戻ることにした、と書くところから、このストーリーは始まっていく。

  彼女が書くこの文章は、何年かあと、子供に宛てて書いたものだ、という想定になっている。ストーリーが始まったときすでに、その始まりは何年かさかのぼる過去のことなのだ。   カリフォルニアへ戻る、という彼女の決定に、彼女の子供にとっての祖母や叔父、叔母たちは反対だった、と彼女は書く。祖母とは、彼女にとっては母親、そして叔父や叔母は彼女の兄弟や姉妹のことだろう。

 彼らの反対にさからってカリフォルニアへ戻るのだから、「お互いに気まずいまま別れました。でもそれは仕方のない事でした」と彼女は日本語で書く。  最初の一節だけがこうして日本語で、すでに書いたとおり、日本で売っている小さなノートブックに黒いインクで手書きしてある。次のページを開くと、この日本語が英語になっていて、その短い文章に最初のイラストレーションが添えてある。  雪景色のなかを成田エクスプレスが成田に向けて走っていく光景だ。画面のいちばん奥でスカイツリーがかすんでいる。

 「しかたがない」の見事な英訳
「でもそれは仕方のない事でした」という最後のセンテンスは、英語だと次のようになっている。  It was all very understandable.  しかたがない、という日本語の言いかたを、どのような英語にすれば意味が伝わるか、という議論は僕が子供だった頃からあった。ひと頃は盛んに議論された。英語ではこのように言えばいいのではないか、という実例があげてあることは、一度もなかったように思う。

  しかたがない、という日本語をめぐって、かつてなされた多くの議論の結論は、この日本語は英語にはならない、ということだったのではなかったか。  見事な翻訳がここにある。  翻訳された英語を日本語に訳してみると、しかたがない、という言いかたを英語にするにあたって必要とされる思考の経路が、あらわになる。英語からの可能なかぎり中立な翻訳を心がけるとして、次のようにもなる。 

「それらはすべてたいそう理解の出来ることでした」  日本語での言いかたを細かく砕いていくと、砕ききったところにあるのは、純粋な意味だけなのではないか。その意味を英語にすれば、それでいい。

  細かく砕いていく過程を、抽象化していく、というような言いかたで表現したことが、かつての僕にはあった。言いかたとしては抽象化でもいいかと思うが、しかたがない、というおおまかな言いかたを相手にするのではなく、意味を細かく砕ききると、意味の最小単位としての核心が、そこに見える。

 しかたがない、という言いかたは、どうにも出来ない、という言いかたに置き換えることが可能だ。  どうにも出来ないからには、それをそのまま受けとめるほかなく、受けとめるにあたっては、そのことに関する理解は充分にいきとどいている、という状態であるはずだ。よくわかる、という状態だ。

 このように順を追って考えていくと、しかたがない、という言いかたに託された気持ちは、しかしすべて理解は出来ている、という意味になる。
 しかたがない、と言わざるを得ない状況は、じつは、よく理解は出来ている、という状況なのだ。だからそれをそのまま英語にすると、It was all very understandable. となる。
 この言いかたは、英語としてきわめて中立的なものであり、したがっていっさいなんの無理もなく、すんなりときれいに意味は伝わる。  理解は出来ましたけれど、それ以上にはどうすることも出来ませんでした、という意味をきわめて下世話なひと言に置き換えると、しかたのないことでした、となる。

 こうして書いていていまふと思うのは、日本の英語教育の現場では、そこで教えているのは understand までであり、understandable は埒の外なのではないか、ということだ。その結果として、understandable に very がつき、It を主語にして文章が成立するなど、思いもよらない世界の出来事となるのではないか。 未来の息子への手紙  最後の1ページに描かれた都会の夜景にはおそらく深刻な意味が託されているのだろう。このような景色のなかの、どの細部に自分は帰属すればいいのか。帰属などが、ここでそもそも可能なのか。そんなことを思う自分とは、いったいなになのか。 

 ストーリーはまだ終わっていない。続いていく。どこへ、どのように、それは続くのか。まったくわからない。予測はなにひとつ成立しない。このような日々の底にあるものを、悲しみなどと呼んでいいものかどうか。

 「これを読むあなたは何歳になったのかしら。私が不在だったのはどのくらいの期間なの? と彼女は読み手に訊いている。なんらかの理由で彼女は不在を続け、そのあいだに子供は成長した。

 アメリカから最初に日本へいったときには、この子供は彼女が膝にかかえていればよかった。しかしカリフォルニアに戻るときには、ひとり分の座席料金を支払わなければいけないほどに、体は大きくなっていた。かなりの期間をふたりは日本で過ごしたのだろう。

「日本とはまったく違った未知の生活を私たちが始めたときのことを覚えてるかしら」とも彼女は書く。日本からカリフォルニアに戻ったときのことだ。表紙のイラストレーションとおなじものが、14番目のイラストレーションとして、ストーリーのなかに登場する。カリフォルニアに戻った母と幼い息子が、迎えに来てくれた夫(息子にとっては父親)と三人で、食事をしたデニーズだ。

「あなたはお腹を空かせていたのでフリーウェイの近くのダイナーに入り、あなたのお父さんはミルクと野球のボールのように作ったパンケーキを注文してくれました。あなたはそのすべてをむさぼるように食べました」と彼女は書いている。  「あなたの父親は、あなたがまるで宇宙から帰還した飛行士ででもあるかのように、好奇心をかりたてられていろいろ知りたがっていましたが、私には、文章を最後まで言い切るように、と言っただけでした」という文章もある。

 文章を最後まで言い切るように、とは英語で Complete sentences. と言う。日本の日常では、言っていることを最後まできちんと完結した文章にしろ、と夫から言われることは、ひょっとしたら一生に一度もない。 エイドリアン・トミネは1974年にカリフォルニアのサクラメントで生まれた人だ。彼の描く Optic Nerve のシリーズが1991年からだから、僕が彼の著作を最初に知ってから、すでに二十数年が経過している。その期間に僕が楽しんだのは、Sleepwalk and Other Stories 、Summer Blonde 、Shortcomings 、32 Stories 、Scrapbook 、そして Killing and Dying だ。 片岡 義男

2016年7月17日日曜日

効果があった・無駄だった「英語学習法」

社会人は、いつ、どのように学んでいるのか。アンケートをとったところ、「苦しいのは自分だけではない」と思わせてくれる結果がずらり。参考にしてほしい。

英語学習で最も重要なことは?

今回アンケートで、効果的な勉強法やムダだった勉強法について聞いた。さまざまな実体験が寄せられたが、ムダな勉強法として複数の人が挙げていたのが、「聞き流すだけの教材」(30代男性)だった。


(写真=PIXTA)
「リスニング力の習得には個人差があり、音だけで頭に入る人と、同時にスペルを見たほうが理解の深まる人がいます。前者なら聞くだけの教材も効果的ですが、たいていの大人は後者なので、聞くだけの教材では苦戦するでしょう」(TOEIC専門塾「英語屋」講師 古澤弘美氏)

前者の音に強い人でも、聞き流すだけではTOEICの点数アップにはつながりにくい。音をとらえることはできても、意味がわからないからだ。

「一語一語意識するには、聞いた内容を復唱するシャドーイングや、聞き取ったことを書きとるディクテーションが有効です。口や手を動かすことでリスニング力を効率的に高めることができます」

一方、勉強法として「ニュースはCNNを見ている」(30代女性)、「英字新聞を読んでいる。ビジネス英語の勉強になる」(40代男性)などの声も上がった。情報収集と英語学習を同時にできるのは、忙しいビジネスパーソンにとって魅力的だ。しかし、じつはそこに落とし穴が……。

「英語という道具がまだ磨かれていないのに、いきなり実用に使おうとすると、結局は使いこなせずに挫折します。英語ニュースは、800点台の力がないと厳しいでしょう。そもそも政治や国際情勢といった時事英語はTOEICに出ませんから、ニュースや新聞で勉強する際は注意が必要です」

同じことは、洋画や海外ドラマ、TEDのプレゼンテーションにもいえる。実用を兼ねてモチベーションを維持するにはいいが、TOEIC対策には向かない。「英語学習で重要なのは、愚直なまでの繰り返し」(古澤氏)。自分に合った教材を、いかに徹底的にやりこむか。その積み重ねが、点数アップにつながるのだ。

▼「学ぶ場・時間」BEST3

1位:電車内・車内 128人
コメント:通勤時を活用したいので、電車通勤できる場所に引っ越した(30代男性)/通勤時間中にリスニングをすると集中できる(30代男性)/公式問題集をコピーし、通勤電車内で読みまくった(30代女性)/通勤の往復3時間を勉強にあてている(30代男性)

2位:隙間時間 46人
コメント:子供の塾の待ち時間に問題集をやる(30代女性)/家族が風呂に入っている時間(40代男性)/昼休みにNHKラジオを聞いた後、e-learningを行う(50代女性)/トイレに問題集を置いた(50代男性)

3位:静かな場所 30人
コメント:家庭に勉強を持ちこまないようにするため、仕事帰りに図書館で勉強(30代女性)/ノイズキャンセリングヘッドホンで学習して、周囲の雑音に邪魔されないようにしている(50代男性)/耳栓をする(30代男性)

番外編:早朝出社で始業前に勉強(30代男性)/夕食後だと眠くなるので、帰宅後すぐ2時間勉強に切り替えた(50代男性)/夜は子供と一緒に21時台に寝て、朝4時に起きて勉強時間を確保している(30代女性)/自宅にいると誘惑が多いので、自分が集中できる場所(喫茶店や図書館など)で勉強するようになった(40代男性)

▼「学び方」BEST3

1位:リスニング学習 163人
コメント:iPodでCNNやBBCを聞いている(50代男性)/NHKラジオ講座を録音し、時間があるときに聞いている(40代男性)/単純作業の仕事のときには英語音声を聞く(50代男性)/海外の放送を視聴する。BGMを洋楽にする(30代男性)/TEX加藤氏の特急シリーズの無料ダウンロード(50代男性)

2位:周辺をすべて英語に 41人
コメント:携帯表示やナビ表示など、細かなところも英語表記に(40代女性)/家の壁や風呂にも英単語を張るなど、日常的に英語で考えたり読み書きする時間をつくる(30代女性)/自宅ではCNNテレビをつけっぱなし(50代男性)

3位:スマホ活用 23人
コメント:通勤時はスマホアプリで勉強(50代女性)/スマホでポッドキャストを聞けるようにした(30代女性)

3位:英会話学校 23人
コメント:skype英会話中、家族は別の部屋へ行ってくれる(50代男性)/TOEICを受けるときは先生に宣言し、恥ずかしいスコアを出さないよう追い込む(30代女性)

番外編:会社のデスクマットに英単語を書いた紙を入れ、仕事中にたまに見ている(30代女性)/意識の高い人と一緒にいるようにする(40代女性)/英語圏へのプライベートの旅行は、ツアーではなく個人旅行に。すべての局面を自分自身で切り抜けなくてはいけない状況をあえてつくる(50代男性)

【効果があった独自の勉強法】
●海外ドラマを吹き替え→字幕→そのままで3回見る(30代男性)
● 東京駅や新宿駅で迷っているような外国人旅行者を見つけたら積極的に声をかけ、電車の乗り方などを教えている(40代男性)
●3週間のセブ短期留学。朝から晩までひたすら英語を使う環境にいたことで、下手でも臆さずに話すようになった(30代男性)
●1日20個単語を覚えるよりも、毎日140個の単語を1週間継続して覚えるほうが定着しやすかった(40代男性)
●半身浴をしながら風呂でアプリで学習(30代男性)
●英英辞典拾い読み。英語のままでイメージできるようになった。訳さないようになりますね(50代男性)
●アプリのiKnow!は、ゲーム感覚でできて続けられた(30代女性)

【効果なし。無駄だった勉強法】
●日本語訳がすぐに見られるようなものはあまり効果がない。英語で考える癖をつけたいと思っているので(40代女性)
●英語のサークル活動。メンバーの発音が悪かった(30代女性)
●英語の小説。自分で訳した日本語が正しいのかどうかわからない(40代男性)
●アメリカ映画で学ぶ英語。略語やスラングが多く、ビジネスやフォーマルな場面ではあまり役立ちそうになかった(30代男性)
●聞き流すだけの教材。当時は英語の基礎ができていなかったため、1年使っても、ほとんど英語力の向上にはならなかった(30代男性)
●DSの英語学習ソフト。声を出すフェーズがあって、電車の中で勉強できない(50代男性)
●通信教育。期限にせかされて、習熟しない(30代男性)

TOEIC点数大幅UPに成功した「私の勉強法」

――VOAで超安上がり・勉強法
濱口達史さん●大手電機メーカー社員

大学院生だった2006年、米国に留学しようとしたら、TOEFLのCBTで250点、TOEIC換算で900点クリアが入学の条件でした。TOEICの無料模試サイトで腕試しをすると600点弱。しかも出願期限は1カ月後です。さらに学生でお金もなく、安上がりな勉強しかできません。

心がけたのは音読。発音できない英語は、頭に入らないからです。単語集は『TOEFLテスト英単語3800』に絞り、毎日100~200語を声に出して覚えました。同時に、前日覚えたのに忘れた単語もチェックし、復習しました。記憶が新しいうちに再度刷り込み、2~3日ですべて暗記できました。

リスニングでは、VOA(米国営放送局)の外国人向け英語放送「Special English」を活用しました。サイトから音源とスクリプト(台本)を無料でダウンロード。朗読を聞いた直後、台本を読みながら復唱するシャドーイングを繰り返しました。英語は日本語とは逆で、修飾語が関係代名詞の後に来ます。音読していると、そうした構文に頭が慣れ、読解の速度も上がります。

1カ月後のTOEFLの結果は257点。09年には実際のTOEICを受けて、935点をマークしました。

――好きな洋書の完全読破・勉強法
白石真由さん●高卒OL

私は高校を卒業した後、契約社員として事務の仕事に就きました。しかし、20歳を過ぎてからは、転職して正社員になることを考え始めました。すると英語力を求める求人が多く、TOEICに挑戦することにしたわけです。

まず、買ってきた問題集を開いたのですが、私には難しすぎて単語も文法もわかりません。1回目のテストの際には勘でシートをチェックしたこともあって、結果は340点前後でした。その後、CD付きの3行の英会話の本を丸暗記したり、NHKのラジオ英会話での英会話中心の勉強に切り替えて、500点台まで伸びました。そこでTOEIC単語集やリスニング問題集などでの勉強へ移行したものの、600点台で足踏み状態になってしまいます。

そして、TOEICの勉強に嫌気がさした私はテキスト類を片付けて、好きだったダニエル・スティールさんの恋愛小説や『ダ・ヴィンチ・コード』などの洋書を読み始めました。わからない単語があると、徹底的に調べました。

すると、1年後のテストで820点へ、最終的に840点まで伸びました。洋書の多読でリーディング力だけでなく、自然と正しい文法も身に付いていったのだと思います。

――シャドーイングで感覚アップ・勉強法
嬉野克也さん●コールセンター会社社員

2012年3月に905点、14年2月には970点のスコアを取ったのですが、英語の勉強を始めたのは36歳になってから。30歳を過ぎても英語は身に付くという記事を読み、「自分でもやってみよう」と思い立ったんです。

最初の2カ月間は猛勉強し、10年3月に受けたTOEICの得点は645点。オンライン英会話の「レアジョブ」も活用し、11年5月には890点までスコアが上がりました。ところが、900点の壁がなかなか越えられません。そこで、音読に取り組みました。目で「読む」、耳で「聞く」だけでなく、口で「話す」ようにもすれば、五感がよく使われ、英語が覚えやすくなるからです。

メーンの教材は『TOEIC公式問題集』と『新TOEICテスト990点攻略』。リスニングでは、聞いた音声を自分でも発声するシャドーイングを行い、英語の発音に対する感覚を研ぎ澄ませました。リーディングでは量をこなし、長文にひたすら慣れました。

また、わからない単語や文法はすぐに調べて苦手を克服していきました。ストップウオッチを片手に問題を解き、解答のスピードを上げる訓練もしました。すると、今まで全問に答えられなかったのが、答えられるようになったのです。


――難解発音フレーズ抜き書き・勉強法
大里秀介さん●サッポロビール 経営戦略部マネージャー

もともと英語は苦手で、1998年に新入社員研修で受けたTOEICのスコアは390点。でも、2006年に30歳になったとき、社内の海外研修制度に手を挙げたら、選考基準がTOEIC650点で、それを契機に勉強を始めました。

しかし、08年1月に825点を取ってからはスコアが伸び悩みました。そして、ネットで知り合ったTOEIC講師のアドバイスで、リスニングが不正確なのが要因と気づかされました。

ネーティブは話すスピードが速く、何といっているのか、日本人にはなかなか聴き取れません。そこで、文章とそれを朗読した音声を対照させて音読し、セットで覚えました。

また『TOEIC公式問題集』で、聴き取れない短文があるとノートに抜き書きして、何度も音読して覚えました。さらに、公式問題集から120の会話パターンを選んで音読し、丸暗記することで、リスニングでは満点も取れるようになりました。

一方、リーディングでは、『1日1分レッスン! 新TOEIC TEST千本ノック』にある全172問を10分で解けるようになるまで、何度も繰り返しました。その結果、11年6月に990点をマークできたのです。

2016年7月2日土曜日

池上彰氏の凄さと限界

池上氏関連のホッテントリがここ数日あがってたので、自分の思うところを書いてみる。
自分は一応、新卒で池上氏と同じ業界に就職(といっても、自分は紙媒体)し、記者という肩書をもらっていた経験がある。
7年ほど現場にいて、体壊して、ちょっと内勤の管理部門にいさせてもらったのだが、なんか、内側から会社を見ているうちにもともと、あんまり向いていなかったかな?と思っていた業界がさらに嫌になって転職して10年ちょっとになる。

普通、あの業界では、最初の何年か地方で修行して、いずれ東京や大阪に戻ってくるパターンが多いが、自分の就職先は、いわゆる経済紙で(ってもう社名明かしたようなもんだが)地方支局が貧弱な会社だった故、新卒が地方支局に行くという制度がなく、入社から退社まで東京で過ごした。


池上氏の凄さは、なんといっても、情報を取捨選択してわかりやすく伝えるプレゼン能力と、守備範囲の広さだと思う。
で、あれだけのことを伝えられるには、背後に相当の知識があるのであろうと思われている。
その「相当」がどの程度なのか、というと、たぶん、世間一般の人が想像するよりは、かなり浅くて、
けっこうぎりぎりのラインでしゃべっているのではないか、という気がする。それでももちろん、かなりのレベルではあるだろうが。
いわゆる大手のメディア企業の記者にまず最初に求められるのは、
「昨日聞きかじったばかりのことを、あたかも以前から詳しく知っているかのようにしゃべったり書いたりする能力」である。
なにしろ、日々、いろんなことが起こるのだ。
なかなか深堀している暇などない。
そうこうして、キャリアを積んでいくうちに、それぞれの専門分野ができていくわけだが、
大半の人は、きちっと専門分野を確立する前に、デスクや管理職になったりして、だんだんと現場から離れていく。
記者職としてキャリアを全うする人(編集委員とか論説委員とか解説委員とか)は少数派だ。

池上氏の経歴を見ると、NHKで地方局や通信部を回った後、東京の社会部で気象庁や文部省、宮内庁などを担当した、とある。
まあ社会部記者として一般的なコースという感じだ。
東京では、悪名高き日本の「記者クラブ」に所属し、最優遇される立場で、役人から懇切丁寧なレクを受けて、
それをニュース原稿に仕上げるのが、まず最初の基本的な仕事だったと推測する。
NHKの記者は特に、「特ダネ」を取ってくることよりも、「報道されるべき情報を落とさない」ことをなにより求められるらしいので、
多分、想像以上に、定例記者会見に出席したり、資料をチェックしたり、他社の報道を確認したり、
思いのほかルーティーンワークが多いのではないかと推測される。
(なお、NHKスペシャルなどのドキュメンタリー番組は、主にディレクター職の人が担当しているので、
一つのテーマを深くじっくり追いかけるのは、あまり記者の仕事ではないらしい。
実は自分もNスぺ作りたくてディレクターを第一志望にしてNHK受けたのだが、見事に落ちた)


で、そんなに知識が深くなくても記者が務まるのかといえば、そこそこ務まる。
自分は、そのさして長くない記者のキャリアの大半を、メーカーを中心とした企業の取材で過ごしたのだが、
正直、最初は、「貸方」「借方」もよくわかってなかった。(大学は政治学選考だったし)

それでも、入門書片手に勉強しながら記事書いて何とかなっていたし、
そもそも「大手メディアの記者」が企業の広報部を訪ねると、結構いろいろ懇切丁寧に教えてくれるのである。
そりゃ、変な記事書かれたくないからね。
多分、NHKの記者というのも、それなりの対応を受けるはずである。
もちろん、伝えてほしいことは積極的かつ懇切丁寧に伝え、触れられたくないことは隠しながら、だが。
中には、「たいてい経験の浅い若手が担当する企業」というのがあって、そういう会社の古参の広報さんの中には
「今、編集委員の何々さんねえ、あの人が新人のころ、私がいろいろ教えてあげたものだよ、わっはっは」なんて言ってたりした。
もし、あなたの会社の広報部に、なんだか大学出たての記者ばっかりくるようだったら、
それは、メディアから軽んじられている証拠である。

もちろん、教わってばっかりでは舐められるので、こっちも勉強していくわけだが、
何しろこちらは早いと一年で担当が変わってしまうが、
相手はその会社一筋なわけで、知識の深さでは、敵わないのが通常だ。
知識を深めるのは、そこそこにしておいて、知らなくてもはったりかませる胆力をつけたほうが役に立つ。
そうこうしているうちに、正面から取材を申し込んだり、正規の記者会見に出席したり、
ニュースリリースを原稿に仕立て上げているばっかりでは通り一遍の記事しか書けず、
社内的にもマイナス点はつかないものの、プラス点がつけられることもないので、
独自に夜討ち朝駆け(アポなしで取材対象のところに押しかける)したり、独自ルート作ったりし始めるのである。
そんなことをしているうちに、自分のような、結局途中で業界を去ってしまうような木っ端記者でも、
ごくごくたまには、取材担当企業の株価をストップ安にしちゃうような記事を書くチャンスが巡ってくることもある。

まあでも、ぶっちゃけいえば、そこそこキャリアを積んでいる先輩の中でも
減価償却費が資金繰りにどういう影響を与えるのかよくわかっていないまま、
それでも企業の経営危機について記事を書いているような人はざらにいた。
(まあ、自分も経験積みながらようやくわかるようになったクチで、
当初はなんのことやらわからなかったのだから、偉そうなことは言えないが)
それでも、首にはなりはしない。


そういえば、思い出したことがある。
今の若い人にほ想像もつかないだろうが、その昔、世界のエレクトロニクス業界をリードし、
今でいえばappleと同じくらいのブランド力で各種製品を生み出していたSONYという会社があった(今もある)。
当時はまだまだ、かつての威光が残っていた。
自分は、そこのメイン担当になるほどの能力もキャリアもなかったが、
たまたま、SONYの会社が取り組んでいる内容が、自分の取材テーマに関わっていたことがあって
取材を申し込んだことがある。
いわゆるストレートニュースではなくて、連載コラムのような記事を書くためである。
で、SONYに行ってみて驚いた。
美人広報さんが、それまでの取材で見たことないような、
膨大でかつ、非常にわかりやすくまとまった資料をお持ち帰り用に用意していたのである。
なんかもう、取材しなくても、この資料テキトーにまとめたら記事書けちゃいそうな。
もちろん、そんな手抜き仕事をして相手の思うツボにはまってはいかんので、
きちんと担当者さんに話を聞いて、自分なりの記事を書いてみたのだが、
やっぱり資料に引きずられなかったかといえば、影響はあったわけで、
まあ、恐ろしい会社であった。
かつて「メイド・イン・ジャパン」の強さの象徴として流布されたSONY伝説は、
もちろん実力の部分もあったけれど、伝説を伝説たらしめようという広報戦略によって
かさを増されていた側面も多かったというのは、そこそこ業界で有名な話である。
なんだか、大分、話がそれた。


多分、池上氏は、NHKでそこそこの社会部記者だったのだろうと思われる。
そんな彼の経歴の中で異彩を放っているのは、そろそろ管理職か専門記者か、という分岐点にさしかかったあたりで
キャスターに転身し、その後10年以上にわたって「週刊こどもニュース」を担当していたことだろう。
(すごい優秀な記者と認められていたら、ここいらで、海外支局あたりで経験つんでいるはずである)
そこそこの取材経験を積んだ後で、
「衆議院と参議院って、どう違うのですか?」とか「比例代表制ってなんですか?」とか、
「どうして輸出が中心の企業は、円高ドル安になると困るんですか?」とか
あらためて、そういうレベルからニュースを解説する仕事を10年以上も続けたジャーナリストは、
少なくとも今の日本では皆無に等しいんではなかろうか?


普通、そこそこキャリアを積んだ記者は、あらためてそんな仕事をしたがらないし、
そもそも、そんなレベルことは、真っ当な社会人ならば学校で習っているはず、というのが日本社会の建前で、
読者や視聴者を、そんなこともわからないヤツらと想定して記事や番組を作っていたら、
ある意味、「お客様をバカにしている」ことにもなりかねない(と、みんな考えていたのだろうと思う)。
まあ実際、そのレベルで作ってみたら、予想以上に受けたわけだが。

「こども向け」の番組というフォーマットを得ることで、池上氏はそういう稀有な仕事を追及していった。
その結果、得たのが、あのたぐいまれなるプレゼン能力だと思うのだ。
多分、池上氏程度の知識や取材能力をもった記者は、NHKや全国紙にはゴロゴロしていると思う。
(自分のかつての勤め先でも、そこそこキャリアがあって、東京でそれなりに仕事している先輩は、皆さんそれなりに凄かった)
でも、その知識や取材結果を子供にわかるレベルでよどみなくしゃべれる人は、そうはいない。

池上氏のニュース解説番組をたまに拝見すると、自然災害のメカニズムから、最新の科学上の発見、日本の選挙から世界経済まで
あらゆる森羅万象を斬っておられるようである。
だが、自分が見る限り、その解説は一般紙や新書本で得られる知見を超えるものはほとんど見ない。
「いや、それは、視聴者に分かりやすいレベルにしているからで、その背後には物凄い知識が・・・」という見方もあるが、
果たしてどうだろうか?
多分、毎日6紙読むという新聞をベースに、ひたすら横に広くいろいろな情報を取り入れておられるように見える。
海外取材などの映像を見ることもあるが、どうも、テレビ局とコーディネータによるセッティングが透けて見えてしょうがない。
多分、その経歴からいっても、海外取材に独自のルートなどはそんなにお持ちではなさそうだ。
やはり、「あまり深くないレベルで次々とあらゆる分野に取り組んでいく」ことがこの人の真骨頂だと思う。
それが悪い、ということではなくて、それがこなせる凄さがある、ということである。

著書を読んでも(といっても、ほんの数冊目を通しただけだが)、たとえば同じNHK出身の元ワシントン支局長の手島龍一氏とか、
あるいは日経の元スター記者で週刊ニュース新書の田勢康弘氏の著書のような、深い取材と鋭い洞察に支えられた
凄みのようなものは感じられない。
そのかわり、入門書としてのわかりやすさはピカイチだ。
やはり、この人の存在価値は「広く入門レベルの知識を提供する」以上でも以下でもないのだろうと思う。
(なお、今、軽く検索してみたらどうやらニュース英語の本まで出されているようだが、
膨大な著書のどこまでご自分で書かれているのだろうか?という疑問は置いておく。
出版業界では、驚くほど「著者が適当にしゃべったことを編集者やライターがまとめた本」というのが、世間で思われている以上に多い。
あと、池上氏が英語を話しているところって、あんまり見たことないような。
NHKの採用試験を突破するくらいだから、読むことに関しては、そこそこのレベルと推察できるが)



さらに、分かりやすさの理由の一つとして、「子供のような素朴な疑問にも正面から取り組む」というのがあるように思う。
巷間よくいわれる、選挙特番の「池上無双」の象徴ともいわれる「創価学会の話題」についても、
タブーへの果敢な挑戦というより、素朴な疑問を追求していった結果なのかもしれない。
「どうして自民党は公明党と組んでいるんですか?」という質問は、大人はあんまりしない。
それは何となくタブーであると感じているせいでもあるが、一方で「そりゃ、理由はみんな知っている」からである。
ましてや、「政治記者歴何十年」を売りにするような政治ジャーナリスト諸氏は、
そんなことよりも、自分の掴んできた独自情報を話したくて仕方なかろう。

だが、池上氏はそういう疑問をスルーしたりしない。
「それは、公明党には創価学会という支持母体があって、固定票が見込めるからですよ」と優しく語りかけるのだ。
で、「では、公明党と創価学会の本部がある信濃町に行ってみましょう!」と、女子アナを連れてツアーを組んだりする。
実際、やってみれば、放送しちゃいけないタブーというほどのこともない。
そりゃそうだ。
ある程度、日本の政治に関心を持っている人ならば、普通に知っていることなのだから。

公明党の側だって、連立与党として大臣まで出す立場になった以上、その程度の取材を拒否するはずもなく、
ちゃんと「公式な答え」だって用意している。

だから、池上氏が
「創価学会の人たちが、選挙は功徳だなんていう仏教用語を使っていたりしますが、政教分離の観点からみて
問題があると思われませんか?」と質問しても、
「創価学会は、大切な支持団体ではありますが、創価学会と公明党は全く別個の組織です。
政教分離というのは、政府が宗教活動を行ったり、宗教活動に介入したり、宗教団体が政治に介入することを禁じておりますが
宗教団体が政党を支持することを禁じるものではなく、現在の公明党と創価学会の関係は問題と思っておりませんが云々」
といった、きちっと理論武装した答えしか返ってこない。

「そうはおっしゃいますけれども、ここに創価学会の名誉会長が、公明党に指示した文書がありましてね・・・」
などと、爆弾情報でもぶっこんで来たら、それは多少「タブーに斬り込んだ」ことになるだろうが、
そこまでのことはしない。
多分、そこまでの取材もしていないと思う。そもそもが、そういう役割の人ではなくて、そこは、
政治を専門する別のジャーナリストの役割だろう。
池上氏はただ、意味ありげに
「はい、そうですか、よくわかりました」と視線を投げかけるという、
きわめてテレビのキャスター的な技術を見せるのみだ。

で、こう考えてみると、やはり池上氏の凄さでは
「子供にも分かるように語ること」「子供の持つような素朴な疑問をゆるがせにしないこと」
を常に追求し実践してきた所にあるように思われる。
これは、なかなかに難しい。
多分、そこには、「相手(子供)が、何がわかって何がわからないのか」を推察する想像力や共感力と
「限られた言葉で複雑なことを説明する」ことを可能にする、優れた言語能力が必要なのではないかと思っている。
ただし、限られた言葉で語りえることは、やはり、ある程度、限られているわけで、
その辺が、池上氏の限界ではないかと考えている。

2016年6月24日金曜日

2016年6月14日火曜日

伊勢志摩サミット秘話 各国首脳の移動にベンツが選ばれた理由とは…


産経新聞 6月14日(火)12時5分配信

 伊勢志摩サミット秘話 各国首脳の移動にベンツが選ばれた理由とは…
厳重な警戒の中、賢島に向かう英国のキャメロン首相を乗せた車列=5月25日午後、三重県志摩市(桐原正道撮影)(写真:産経新聞)
 首脳をはじめ各国の政府関係者やジャーナリストらが続々と来日した5月の「伊勢志摩サミット」。日本ブランドを世界にアピールするまたとない機会になったが、首脳らが現地を移動する際に使ったのは、トヨタ自動車などの国産車ではなく、独メルセデス・ベンツの高級車だった。ベンツが選ばれた理由とは…

 5月26日、三重県伊勢市。サミット最初の行事となった伊勢神宮訪問で、安倍晋三首相は内宮の入り口にかかる宇治橋のふもとに立ち、続々と車で乗り付けるG7首脳を出迎えた。

 ドイツはいうまでもなく、イギリスなら「ジャガー」「アストンマーティン」、フランスは「シトロエン」、イタリアは「マセラティ」と、G7各国は、そうそうたる自動車ブランドを自国に持つことで知られる。

 やはり、キャメロン英首相は映画「007」の主人公ジェームズ・ボンドと同じ「アストン」か-などと、記者も空想を膨らませて待っていたのだが、メルケル氏はもちろん、キャメロン氏もオランド仏大統領も、イタリアのレンツィ首相もベンツに乗って登場、期待は見事に裏切られた。

 唯一の例外が米国で、オバマ大統領だけ「キャデラック」の大型リムジンで現れた。

 米国は別にして、各国が自国車両を持ち込むのは難しいとしても、それなら日本のトヨタや日産自動車、ホンダでよかったのではとの思いが頭をよぎったが、そうではないらしい。

 ■マシンガンや地雷に対応

 サミット関係者によると、オバマ氏以外の首脳が乗っていたのはベンツの最上級モデル「Sクラス」の防弾車で、「S600 Guard」の名称を持つ。日本が議長国として用意し、伊勢志摩サミットのためにドイツから輸入されたという。

 国際会議などで首脳を乗せる車はテロや外部からの襲撃を想定し、防弾などで高い安全性能を確保していなくてはならない。

 S600 Guardは、見た目は通常のSクラスとほぼ同じだが、ドイツの「VR9」という最高レベルの安全基準をクリア。特殊鋼を使用した堅牢なボディー構造で、積層されたガラスもポリカーボネートでコーティングされており、マシンガンによる銃撃にも耐える。

 ジェームズ・ボンドの乗る“ボンドカー”さながらの装備で、車の底には特殊な外板が設置され、地雷など車両下の爆発物に対応。特殊タイヤは損傷しても30キロは走行でき、毒ガスや細菌攻撃を想定した換気システムもあるという。

 V12エンジンを搭載し、最高出力は530馬力で、最高速度は時速210キロを誇る。

 実は平成20年の北海道・洞爺湖サミットの際もベンツが輸入された。

 ■米大統領車は“野獣”

 一方、オバマ氏が乗っていたのは大統領専用車「キャデラック・ワン」。S600 Guardほどスピードは出ないが、「ビースト(野獣)」の名称で知られ、ロケット弾も耐える装甲を持つとされる。大統領がどちらに乗っているかわからないように絶えず2台で移動していた。

 対する日本だが、安倍首相は普段も使用しているトヨタの最高級モデル「レクサスLS」の特注車で移動した。詳しい性能は非公開であるものの、防弾車であるのは間違いない。

 また、各国首脳の随行員らもトヨタのロングセラーバン「ハイエース」を提供していた。

 サミット開催にあたり、議長国である日本政府は、各国首脳用にレクサスの防弾車を特注することも可能だったかもしれないが、価格なども考慮しつつ、海外の基準をクリアし、一定の量を効率的に用意できるベンツを選んだとみられる。

 実際、ベンツがS600 Guardだけでなく、スポーツ用多目的車(SUV)「Mクラス」の防弾車など多様なラインアップを用意し、世界各国の政府機関やVIPに販売を続けてきたのに対し、レクサスの防弾車は市販されていないからだ。

 日本は治安がいいからと言ったらそれまでだが、紛争地域やテロ対策などを考えれば、世界的には防弾車のニーズは少なくない。自動車メーカーにとっては性能や信頼性のアピールにもなり、独メーカーではベンツのほか、アウディやBMWも手がけているだけに、日本勢の出遅れが目立つ。

 ■自動運転も不発

 サミットでは、トヨタや日産、ホンダが自動運転車を披露し、日本の技術をアピールする機会も設けられた。ただ、カナダのトルドー首相らが試乗したのに対し、オバマ氏やメルケル氏らは欠席した。

 今回のサミットで、首相は中国の海洋進出に対する認識の共有や世界経済の成長に向けて各国が政策を総動員することなど、いくつかの成果を上げた。では、日本の自動車メーカーはといえば、「完勝」というわけにはいかなかったようだ。(田村龍彦)

2016年6月12日日曜日

超使える! 「スター・ウォーズの英語」5選

東洋経済オンライン 6月11日(土)11時0分配信

 超使える! 「スター・ウォーズの英語」5選
映画を見る前に『スタ-・ウォーズ』の英語を学べば、面白さががぜん増します! ※『CD付 スター・ウォーズの英語 [エピソード7/フォースの覚醒]』(KADOKAWA)より
昨年の冬についに放映され、世界的な反響を巻き起こした、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』。ついに日本でもDVD&Blu-rayが発売されましたが、『フォースの覚醒』を充分に楽しむためには、やはり英語のセリフを理解するのがいちばんです! 
もっと言えば、キャラクターのセリフを日常会話で使ってみることで、普通に勉強するよりも、はるかに効率よく身に付けることができます。
「『スター・ウォーズ』はSFだから、あまり使えないのでは?」と思ったあなた、それは誤解です!  前回の記事でもご紹介しましたが、本作では、日常生活で使える英語表現が非常に多く登場します。それでは、『CD付 スター・ウォーズの英語[エピソード7/フォースの覚醒]』で翻訳/英文解説を担当された、カリスマ英語講師の安河内哲也氏に、本書後半に登場する、日常会話でも使える英語の名言を紹介いただきます。もちろん今回も、最新の超美麗のアートワークも必見です! 
(※本記事は軽微なネタバレを含みます。まだ見ていない人は注意してください。)
■ スター・ウォーズと共に「英語マスター」を目指そう! 

みなさん、こんにちは!  安河内哲也です。前回の記事でもお話しましたが、私は『スター・ウォーズ』のファンで、本シリーズがきっかけで“英語に覚醒した”といっても過言ではありません。 みなさんもぜひ、『スター・ウォーズ』をきっかけに「英語マスター」を目指していただけたらと思います! 

最新作で復習する、スター・ウォーズの英語名言その①
・You’re part of this fight. We both are.

あなたは戦うんでしょ。私たち2人とも。―――――レイ

 帝国軍の残党であるファースト・オーダーを脱走したフィンは、レイと出会い、追っ手から逃れるためにミレニアム・ファルコン号に乗船していました。ところが、話の流れからレジスタンスの基地へと向かうことになり、ハン・ソロの友人、マズ・カナタの酒場に立ち寄ります。そこで彼は、自分はレジスタンスに加わるつもりはないと明言するのです。これは、そんなフィンに対してレイが言ったセリフです。

 part of ~ は、日常表現やビジネス英語でもよく使う表現で、「~の一員です」という意味。

 You are part of this project. We all are.

 (あなたはこのプロジェクトの一員です。私たちすべてがそうなのです)

 と言ったりできます。このシーンでは、「あなたはこの戦いの一部でしょ」という意味ですが、そこから「あなたは戦うんでしょ」と意訳してみました。

最新作で復習する、スター・ウォーズの英語名言その②
・Long story. A good one for later.

長い話になるわ。後にしたほうがいいわね。―――――マズ・カナタ

 マズ・カナタの城の地下室には、何とブルーのライトセーバーがありました。

 エピソード5では、ダース・ベイダーに手を切り落とされたルークの手にもブルーのライトセーバーが握られていたのを覚えているでしょうか?  これらは果たして同じものなのか。そしてなぜ、ライトセーバーが酒場の地下室にあるのか……。

 マズ・カナタがそれを説明しようとしても、簡単には説明できない背景があるらしく、「どこで手に入れたんだ?」というハン・ソロの問いに、彼女はこのセリフのように手短に答えるのみです。

 long story(話せば長くなる)、for later(後で) は、ともに日常生活でよく使う表現です。

 Why did you go to watch Star Wars without me? 

 (なんで、僕を置いて「スター・ウォーズ」を見に行ったんだ? )

 などという問いかけに、

 Long story. It’s for later.

  (話せば長くなるんだ。それは後にしよう)

 という具合に使うことができます。

最新作で復習する、スター・ウォーズの英語名言その③
・Come get it.

取り戻してみな。―――――フィン

 青色のライトセーバーは、元々、スカイウォーカー家の人間の手を渡り歩いてきた伝説の武器です。傭兵としての訓練を受けてきたためなのか、フィンはこのライトセーバーを意外なほど見事に使いこなします。それを見たカイロ・レンは、フィンに対して「その武器は私のものだ」と告げるのです。それに対し、フィンはこのセリフを発し、勇敢にもカイロ・レンと戦う姿勢を見せます。

 comeやgoという動詞は、その後に原形不定詞を付けることがあります。たとえば、You go get it. (それを取りに行って)やWould you come see it? (見に来てくれませんか? )。こうした言い方は、ネイティブの間で頻繁に用いられるます。

 皆さんも、このような会話で使ってみてください。

 Why don’t you come see my Star Wars collection? 

 (僕の「スター・ウォーズ」コレクションを見に来ない? )

最新作で復習する、スター・ウォーズの英語名言その④
・I can show you the ways of the Force.

オレがおまえにフォースの使い方を教えてやる。―――――カイロ・レン

 カイロ・レンは、スターキラー基地内でチューバッカに撃たれ、手負いの身です。とはいえ、訓練を受けてきたカイロ・レンは強敵で、フィンは敗れてしまいます。

 その後、ライトセーバーを持ったレイがカイロ・レンに立ち向かうのですが、その戦いの最中、苦戦するレイに対してカイロ・レンが放つセリフが、これです。

 show~は「~を見せる」とも訳されますが、ここでは「~を教える」という意味で使われています。the waysは「方法」ですが、日本語の「道」に近いニュアンスです。したがって、the ways of the Forceは「フォース道」と訳すことも可能です。

最新作で復習する、スター・ウォーズの英語名言その⑤
・May the Force be with you.

フォースと共にあらんことを。―――――レイア・オーガナ

 『スター・ウォーズ』ファンでこのセリフを知らない人はいないと思いますが、やはり今回も、最後を締める言葉はこれ以外には考えられません。may には祈願や祈りの意味が込められており、宇宙に流れるエネルギー、すなわち「フォース」が共にあることをお互いに願いつつ、相手へ贈る言葉として使われています。

 日常表現としては、

 May your dream come true! (あなたの夢がかないますように! )

 という表現で使えます。

 銀河をめぐる戦いの中であっても、飛び交う英語は日常会話でよく使えるものばかりなのです。皆さんも、ビデオや書籍で、改めて『スター・ウォーズ』の世界に触れてみてください。きっと、私と同じように「英語に覚醒」することができると思います! 

 それでは、May the Force be with you! 

 (写真:©&TM LUCASFILM LTD)

安河内 哲也