2012年12月9日日曜日
大河「平清盛」視聴率ワーストワン確実に テコ入れも不振の“理由”は
産経新聞 12月9日(日)16時20分配信
視聴率の低迷にあえぐNHK大河ドラマ「平清盛」が今月23日で最終回を迎える。汚いと批判のあった画面を改善したり、人気俳優の起用、解説番組の放送などのテコ入れもむなしく、初回から第47回(2日放送)までの平均視聴率(関西地区)は11・7%と大河としては異例の低さだ。残りの放送はあと3回。ワーストワンを“回避”するためには各回とも約35%の視聴率が条件。大河史上ワーストの平均視聴率13%を下回るのは確実になった。(横山由紀子)
■苦情590件 大河50年記念のはずが…
今年は大河ドラマが始まってちょうど50年目の節目だけに力が入っていた。手堅い幕末や戦国時代ものではなく挑戦的な意味合いもあった。
平安時代末期を舞台に、平清盛という歴史上の“アンチヒーロー”を主人公に据え、土埃の舞う都の雰囲気や宮中行事を綿密に描くなど、「リアルな平安時代」をコンセプトに始まった。
ところが放送開始早々の1月、「画面が汚い」と、清盛ゆかりの兵庫県の井戸敏三知事が発言。逆に話題になって視聴率がアップすることもあるが、違った。NHK広報局によると、視聴者からも「画面が不鮮明で見づらい」などの厳しい意見が1月中に590件寄せられたという。
■あの手この手の試みも…
2月以降は、色彩の明暗をくっきりさせるなど映像を改善。このほか、視聴者には馴染の薄い平安末期という時代や平家、源氏、朝廷の入り組んだ人間関係が複雑で分かりにくいとの指摘に対して、冒頭に歴史的背景や見どころを詳しく解説したり、相関図の表示、人物名のテロップを繰り返し流すなど対応。また、平安末期という時代を読み解く解説番組を別に放送するなど、テコ入れに励んできた。
さらに、番組の磯智明チーフプロデューサー自らが、放送と同時進行でツイッターで解説を行う試みを実施。ツイッターそのものは注目を集めたが、視聴率アップにはつながらなかった。
■視聴者ニーズとの間にギャップ
関西大学の黒田勇教授(メディア文化論)は「平安末期という視聴者が見慣れない時代設定も要因のひとつ。これまで数多く取り上げられてきた安土桃山、元禄、幕末から明治維新の時代は、歴史的な知識があり、何度見ても面白く感じることができる」と分析する。
黒田教授は、「日本人は大河に壮大なファンタジーを期待するもの。しかし、薄汚れた衣装や都の土埃、かすんで不鮮明な映像の今回の作品は、王朝ものはきらびやかであってほしいという視聴者ニーズとの間にギャップがあった。映像でのリアリティーの追求は、新しい大河の地平を切り開いた意欲作として評価できるが、視聴者がその水準に追いついていなかったともいえる」と話す。
今作の放送に合わせ、清盛ゆかりの観光地を盛り上げようと今年1月にオープンした神戸市の「歴史館」(神戸市兵庫区)を監修した園田学園女子大学の田辺眞人名誉教授(歴史学)は「清盛をめぐる個々人の愛憎や怨念に終始した心理ドラマを見ているようで、清盛の国づくりの思いや戦の成り行きなど歴史的なものが見ることができず残念だった。しかし、かつて清盛が改修した港・大輪田泊(同)があった場所には多くの観光客が訪れ、歴史館の入場者数も当初予想の20万人を上回った。地域振興という大河がもたらす効果はあった」と話している。
■低迷のまま最終回へ
ついに10月21日放送の清盛と後白河法皇の確執を描いた第41回「賽(さい)の目の行方」では、関西の平均視聴率が7・5%と、記録がある平成6年以降で過去最低となってしまった。この回までの6週間、1桁台が続いていた。
初回から第47回までの関西の平均視聴率11・7%。この数字は、過去最低だった「春の波濤(はとう)」(昭和60年度)の13・0%からも引き離されている。
NHKとしても、次なる大河「八重の桜」に期待をかけるほかなさそうだが、主演を務める女優の綾瀬はるかさんには、大きなプレッシャーがのしかかりそうだ。綾瀬さんは同志社大学を創設した新島襄の妻・八重を演じ、来年1月6日から放送がスタートする。(視聴率はビデオリサーチ調べ、関西地区)
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