会話を台無しにする「地雷」は多くの場合、最初の一歩目、「しゃべりだし」に埋まっている。
「とりあえず」「じゃあ」「でも」……。何気なく発する最初の一言。これで相手の信頼を失ったり、耳を塞がせたりしてしまうことは実に多い。やっかいなのは、発した本人に自覚できるほどの悪意がないこと。 ふと目を合わせ、相手の顔色が変わっていることに驚く。だがもう遅い。まさしく地雷だ。
どんなに会話のスキルを上げても、冒頭で失敗しては何もできない。話し方トレーニングの基礎編は、この地雷を避ける、あるいは処理するところから始めよう。
地雷語は大別して7種類
地雷語は大きく分けて7種類ある。「転嫁」「上から目線」「脅迫」「否定」「決めつけ」「拒絶・遮断」「反抗」だ。 これらの言葉が人を不快にして、時に怒りを買ってしまう理由は以下の通り。
●転嫁…聞き手に「あいつは卑怯だ」という印象を与えてしまう。
●上から目線…実際にどちらの立場が上かということに関係なく、「自分の方が上」と聞こえる。
●脅迫…相手を不安にさせようとしていると受け止められる。
●否定…自分の意見に反対だと思わせる。
●決めつけ…自分の意見や価値を低く見積もっていると感じさせる。
●拒絶・遮断…これ以上会話の意思がないと思わせる。
●反抗…攻撃の意思を感じさせる。
そんなことは分かっている、という方も多いだろう。では分かっていれば、地雷を踏まないかというと、実はそうでもない。やむにやまれず、気持ちを抑えきれずに踏んでしまうこともよくある。
「まずい! やってしまいそうだ!」と思ったら、正解欄の「言い換え」を思い出して冷静に処理しよう。いい仕事は職場の「地雷除去運動」から始まるのかもしれない。
地雷語1 「とりあえず~してみました」
「とりあえず作りました」
「とりあえずはいらないから。ちゃんと作って持っておいで」。ああ、ボスは目も通してくれなかった……。
なぜダメなのか
不備を指摘された時の言い訳にしようという意図が伝わってしまう。
地雷語2 「言い訳はしたくないのですが」
「言い訳はしたくないのですが、部品の納品が……」
不機嫌な顔で「言い訳しているじゃないか」と返され、二の句が継げなくなった。
なぜダメなのか
「これから話すのは言い訳です」と白状しているようなもの。「じゃあ、するな」と返されるのが関の山だ。
地雷語3 「私は構わないのですが」
「私は構わないのですが、メンバーが何と言うか……」
すると上司は「君がリーダーなんだから、構わないなら進めればいいじゃないか」と返されてしまった。
なぜダメなのか
こういうことを言う人は、「私」が一番「構う」ことが多い。卑怯な言い方だと受け止められる。
地雷語4 「一応~」
「一応、クレーム処理が済んだので報告いたします」
即座に「一応とは何だ。ちゃんと報告しなさい」と言われ、しどろもどろになってしまった。
なぜダメなのか
「一応」はよけいなセリフ。謙遜のつもりだったとしても、言わない方がいい。逃げの姿勢も見える。
地雷語5 「ダメならダメでいいんですけど」
「ダメならダメでいいんですけど、理由は何ですか」
即座に「ダメでいいなら説明しなくてもいいだろう」と切り返されてしまった。
なぜダメなのか
Eさんのセリフは完全な開き直りであり、逃げだ。それで話を聞いてもらおうという方が間違っている。
地雷語6 「ある意味~」
「ある意味ではご指摘の通りだと思います」
と答えたところ、不機嫌な顔で「じゃあ、他にどんな意味があると思うんだ。言ってみなさい」と返された。
なぜダメなのか
この言葉から始めると、どういう意見でも許される空気を作る半面、「逃げ」や「否定」の印象を相手に与える。
Q1 × 「とりあえず作りました」→「作成しました。お目通しいただけますでしょうか」
これしかないだろう。
Q2 ×「言い訳はしたくないのですが、部品の納品が……」→「申し訳ありません。実は業者からの部品の納品が予定を大幅に遅れまして……」
まず率直に謝る。そのうえで主張すべきところは主張する。
Q3 ×「私は構わないのですが、メンバーが何と言うか」→「その考え方には私は同意できません。なぜなら……」
責任回避しようとせず、自分を主語に立てて正面突破を図ろう。
Q4 ×「一応、クレーム処理が済んだので報告いたします」→「クレーム処理の報告をさせていただけますでしょうか」
余計なことは言わない。
Q5 ×「ダメならダメでいいんですけど、理由を聞かせてください」→「今後の参考に、ダメな理由をお教えいただけますか」
「指摘されたダメな部分を今後の仕事に生かしてみせます」という真摯で前向きな姿勢をアピールする。
Q6 ×「ある意味では、ご指摘の通りだと思います」→「ある意味では」を取る。
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