2014年7月30日水曜日
<中国>イチからわかるウイグル族独立問題
2013年11月1日(金)10時30分配信
北京の天安門広場で、車が歩道に突入し5人が死亡した事件について、当局は新疆(しんきょう)ウイグル自治区の活動家によるテロと断定しているのですが、背景にはウイグルにおける中国からの独立問題があります。ウイグルとはどのような場所で、彼等はなぜ中国から独立しようとしているのでしょうか?
自治区の半数がイスラム教徒
新疆ウイグル自治区は中国の西端に位置し、人口約2000万の半分がイスラム教徒のウイグル族で占められている特殊な地域です。中国が王朝だった時代には、中国やモンゴル遊牧民族の圧力を受けながら独立と従属を繰り返していました。この地域にある楼蘭という古都はシルクロードの舞台としても有名な場所です。しかし1949年に中国共産党が政権を握って以降は、完全に中国に併合され、1955年に新疆ウイグル自治区という名称になり今に至っています。
中国当局は、新疆ウイグル自治区に大量の漢族を移住させ人口比を逆転させようとしており、政治や経済といった重要な分野では漢人が大きな影響力を持っています。また中国は建前上、宗教を否定する社会主義国家なので、イスラム教の活動について常に監視下に置いています。このため一部の住民は中国の統治に対して強く反発し、中国からの分離独立を主張しています。
2009年暴動では約200人死亡
2009年には同自治区のウルムチで、漢族によるウイグル族への襲撃事件を発端とした激しい暴動が発生し、中国当局の発表によると約200人が死亡しました。当局は暴動を扇動したとしてウイグル族9人を処刑したほか数百人が拘束されたといわれています。
今年に入っても、警官隊と活動家の衝突などが何度も起こっていますが、同自治区の内情は外国のマスコミが取材できないためあまり明らかになっていません。一部の報道によれば、日本が戦時中に導入していた隣組(住民を相互監視させ密告させる仕組み。現在の町内会や回覧板はその名残)によく似た制度を導入し、住民を監視下に置いているといわれています。
軍事的に重要な地域
中国はチベットでも同様の問題を抱えており、10月には国連人権理事会が中国に対してチベットやウイグル自治区などにおける少数民族の権利保護を求めました。しかし、中国側は「国を分断するような行為を受け入れることはできない」と主張し、反体制活動を弾圧するのは正当な行為であるとの立場を崩していません。かつて西側諸国は、中国のこうした人権弾圧を強く批判していましたが、現在では大国となった中国との経済協力を優先し、これらの問題については黙認しています。
中国人は歴史的に、北方と西方の備えを完璧にしないと中国本土を守ることはできないとの考えを強く持っており、新疆ウイグル自治区は軍事的に重要な地域と認識されています。また一部民族の独立を認めてしまうと、数十あるといわれる少数民族が、一斉に中国政府に反旗を翻す可能性があり、当局はこうした事態を強く危惧しています。中国はよほどのことがない限り、この地域の独立を認めることはないでしょう。
(The Capital Tribune Japan)
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