2013年8月7日水曜日
ジブラルタル帰属問題
1713年のユトレヒト条約以降イギリスが統治を続けているジブラルタルだが、スペインは今も返還を求めている。ジブラルタルはヨーロッパに残る最後の「植民地」であり[6]、また係争当事国がいずれもEU加盟国である点、係争が300年もの長きにわたっている点で、世界の領土問題のなかでも異色の存在と言える[6]。
スペインの基本的見解は、ユトレヒト条約第10条はジブラルタルの町、城、それに付随する港、要塞の所有と軍事利用をイギリスに認めたに過ぎず、主権はスペインに残っているというものである[1]。スペインにとってジブラルタルは長らく「スペインの靴の中に入ったペニョン(岩山)」となっている[6]。しかし返還を求めるスペインの主張は、モロッコのセウタなど自らの植民地所有と矛盾するものでもある[9]。一方、現在のイギリス統治が住民から圧倒的支持を受けていることは1967年9月の住民投票から明らかであるが[2][5]、同年12月に国連の非植民地化委員会(英語版)はイギリスのジブラルタル領有を植民地主義的だとして返還を促す決議を採択している[2][9]。
1704年のイギリスによるジブラルタル占領以降、スペインはジブラルタルを武力で奪回すべく1705年、1727年、1783年に包囲戦をしかけたが、いずれも失敗した[1]。またその後の外交による交渉も全て不首尾に終わった[1]。19世紀後半以降、スペインの国力が衰えている時期にイギリスは国境を北へ押し上げる行動に出た[6]。最終的にこれはスペイン本土との間に非武装中立地帯を設けることで落ち着いたが、ここの境界線の画定は今も棚上げされた状態である[6]。
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